肩が上がらない、後ろに手を回すと激痛が走る…。
そんなつらい肩の症状に悩まされていませんか?
「年齢のせい」「放っておけば治る」と我慢してしまう方も多いですが、実は50肩(肩関節周囲炎)には、放置してはいけない原因や症状の種類があります。
この記事では、理学療法士の視点から、50肩の病態、分類、原因、予防法、セルフケア方法まで詳しく解説していきます。
⸻
50肩(肩関節周囲炎)の病態とは?
50肩は、40〜60代に多く見られる肩の疾患で、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。
肩関節を構成する関節包・靭帯・腱板(ローテーターカフ)・滑液包などの軟部組織に炎症が起きることで、痛みと可動域制限(動かしづらさ)が生じます。
主な症状
• 肩の前側〜外側の痛み(特に夜間痛が強い)
• 腕を横に上げられない、後ろに回せない(服の着脱が困難)
• 動かさないと次第に関節が硬くなる(拘縮)
⸻
50肩の種類と原因 ― ひとくちに「肩が痛い」と言っても原因は様々
50肩は「原因がはっきりしない痛み」と思われがちですが、実際にはいくつかのパターンがあります。
🔹① 関節包炎・癒着(いわゆる“凍結肩”)
関節包が炎症を起こし、癒着して動かなくなるタイプです。いわゆる“Frozen Shoulder”とも呼ばれます。明らかな外傷がなく、急に痛みが始まり、数か月で肩が全く動かなくなることも。
• 特徴:夜間痛・強い可動域制限
• 経過:炎症期 → 拘縮期 → 回復期の3段階で進行
🔹② インピンジメント症候群型
肩の腱板(特に棘上筋)や滑液包が肩峰と上腕骨頭に挟まれて炎症を起こすタイプです。
• 原因:肩の使い過ぎ・不良姿勢(巻き肩)・筋バランスの乱れ
• 特徴:腕を上げると痛む(90度付近)、重いものを持つと痛い
• 備考:放置すると腱板断裂へ進行することも
🔹③ 上腕骨頭の求心位保持不全型(不安定肩)
肩関節は球関節であるため、安定性を筋肉(特にローテーターカフ)で保っています。
加齢や筋力低下、長年の肩の使い方のクセにより、上腕骨頭が適切な位置に保てず、炎症や痛みを起こすタイプです。
• 原因:インナーマッスル(棘上筋・棘下筋など)の弱化や不適切な運動
• 特徴:肩関節の“抜けるような感じ”、動かし始めに痛い、スムーズに動かない
• 治療のポイント:姿勢の修正・インナーの筋力トレーニング
🔹④ 石灰沈着性腱板炎型
腱板にカルシウムが沈着し、急激な痛みや腫れを伴うことがあるタイプです。超音波検査などで確認されます。
• 症状:安静にしていても激痛、発熱や腫れを伴うことも
• 備考:自然吸収される場合もあるが、注射や吸引処置が必要なケースも
⸻
50肩の予防法 ― 「痛くなる前に」が理想
姿勢を見直す
• 長時間のスマホ・PC作業で肩が内巻きになると、腱板や肩甲骨周囲筋にストレスがかかります。
• 肩甲骨を軽く寄せるような姿勢を日常的に意識しましょう。
毎日の軽い運動を習慣に
• 肩をすくめる・回す・バンザイ運動など、関節を使うことが最大の予防。
• 特にデスクワークの合間には「肩回し・肩甲骨ストレッチ」がおすすめ。
⸻
セルフケア方法 ― 自宅でできる3つのケア+やり方・フォーム解説
50肩のケアは、段階に応じて負荷を調整することが重要です。以下は「痛みが落ち着いてきた段階(拘縮期〜回復期)」を想定したセルフケアです。
⸻
① 温熱療法(ホットパック)
🔹効果:
・関節周囲の血流を促進
・筋肉や関節包の柔軟性を高め、動きやすくする
🔹やり方:
1. 電子レンジで温めるタイプのホットパックを用意
2. 肩の前側〜外側(痛む部位)を中心に当てる
3. タオルでくるみ、低温やけどを防ぐ
4. 15〜20分を目安に、じんわり温める
※就寝前や運動前に行うと効果的
🟢おすすめ:レンジで使えるホットパック
https://amzn.to/436rQS1
⸻
② マッサージガンで筋緊張の緩和
🔹効果
・筋膜の癒着を改善し、可動域を回復
・特に三角筋・棘下筋・肩甲挙筋などの緊張緩和に効果あり
🔹やり方(フォーム):
1. 椅子にリラックスして座る
2. マッサージガンを低速モードに設定
3. 以下の部位を1か所20〜30秒、優しく当てる
• 肩の外側(三角筋)
• 肩甲骨の上縁(肩甲挙筋)
• 肩甲骨の裏(棘下筋)
❌ 注意点:
• 肩関節そのもの(関節の真上)には直接当てない
• 痛みが強い急性期には使用を避ける
🟢おすすめ:軽量マッサージガン:https://amzn.to/4kibdJc
⸻
③ チューブトレーニングでインナー強化
🔹目的:
上腕骨頭を正しい位置に保つためのローテーターカフ(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)を鍛える
⸻
【種目1】外旋運動(棘下筋・小円筋)
▶フォームとやり方:
1. セラバンドをドアノブなどに固定
2. 体の横で肘を90度に曲げる(肘は体に密着)
3. ゴムチューブを外側へゆっくり引っ張る
4. 3秒かけて戻す × 10回 × 2セット
❌ よくあるミス:肘が浮いてしまう → 脇にタオルを挟むと◎
⸻
【種目2】内旋運動(肩甲下筋)
1. 外旋運動と逆側の手でセラバンドを持つ
2. 体の中心に向かってゆっくり引っ張る
3. 肘は引きつけたまま、3秒かけて戻す × 10回 × 2セット
⸻
【種目3】肩甲骨内転(肩甲骨の安定)
1. 背筋を伸ばして立ち、セラバンドを前方に持つ(肩幅より広く)
2. 両手を開きながら肩甲骨を内側に寄せる
3. 背中の中央に力が入るのを感じたら、2秒キープして戻す × 10回
⸻
📌 補足:セルフチェック方法
• 腕が耳の横まで上がるか?
• 背中に手が届くか?
• 動作中に痛みが強くないか?
少しずつでも「できる範囲」で続けることが大切です。無理に痛みを我慢して続けると悪化する可能性があるため、不安があれば専門家に相談を。
🟢おすすめ:チューブ
https://amzn.to/3SgxmLE
⸻
まとめ ― 早期に整形外科を受診しよう
50肩は時間が経てば自然に治る場合もありますが、症状によっては適切なリハビリや医療的処置が必要です。
「たかが肩こり」と自己判断せず、整形外科での画像検査や理学療法士の評価を受けることが、最短で改善する近道になります。