【理学療法士が解説】肩甲骨がゴリゴリ鳴るのは病気?原因と対処法とは

「肩甲骨のあたりでゴリゴリ音が鳴る…これって大丈夫?」

肩甲骨のあたりから「ゴリゴリ」「コリコリ」「パキパキ」といった音が鳴ること、ありますよね。
動かすたびに音がすると「何かの病気じゃないか?」と心配になる方も多いです。

結論から言うと、必ずしも病気というわけではありませんが、体のサインとして注意すべきケースもあるので、この記事で詳しく解説します。

肩甲骨が鳴る原因とは?

  1. 肩甲胸郭関節の滑走不全(スナッピングスキャプラ症候群)

肩甲骨と肋骨の間には「肩甲胸郭関節」と呼ばれる空間があり、ここでスムーズに肩甲骨が動くことで腕を自由に動かせるようになっています。

しかし、

• 長時間の猫背姿勢
• 筋肉の緊張や硬さ
• 筋膜の滑走障害

などが原因で肩甲骨の動きが悪くなると、肩甲骨と肋骨の間でこすれるような音(スナップ音)が出てしまうことがあります。
これが「スナッピングスキャプラ」と呼ばれる状態です。

  1. 筋膜や筋肉の癒着・滑走障害

肩甲骨の周囲には「前鋸筋」「菱形筋」「広背筋」など多くの筋肉があります。
これらの筋肉の滑走性(動きのスムーズさ)が低下すると、ゴリゴリという摩擦音や引っかかり感が出ることがあります。

  1. 関節の構造的な問題(少数例)

まれに、肩甲骨や肋骨の奇形、骨の出っ張り(骨棘)などがあると、動きに制限や異音を伴う場合があります。
→ただし、これらは少数で、ほとんどは筋・筋膜由来です。

放っておいても大丈夫?注意が必要なケースとは

以下のような症状がある場合は、整形外科などの医療機関での診察をおすすめします。

• 音と一緒に強い痛みがある
• 肩甲骨周囲に熱感や腫れがある
• 腕が上がらない・しびれるなどの神経症状がある

これらがある場合は、炎症や神経障害、関節の損傷などの病的原因も考えられます。

理学療法士としての経験:よくある原因とアプローチ

私の臨床経験では、肩甲骨が鳴ると訴える方の多くが、

• デスクワークでの前かがみ姿勢
• 肩甲骨の可動域制限(特に上方回旋や内転)
• 前鋸筋や小胸筋の過緊張

といった要因を抱えており、適切なアプローチで症状が改善するケースが多数あります。


自分でできる!セルフケアのポイント

  1. 肩甲骨はがし(肩甲骨周囲のストレッチ)

→壁に手をついて肩を回す、ゴムバンドで肩甲骨を引き寄せるなどの動作がおすすめ

  1. ストレッチポールで前鋸筋・広背筋を緩める

→肩甲骨の動きを妨げている筋肉に直接アプローチすることで、滑走障害の改善が期待できます。

ストレッチポールの使い方(前鋸筋・広背筋)

• 前鋸筋へのアプローチ

1. 横向きに寝て、フォームローラーをわき腹の少し前側(肋骨と肩甲骨の間)にあてます。
2. 肩を少し前に出すように体を倒し、わきを軽く締めるようにしてローリングします。
3. 痛気持ちいい範囲で、前後にゆっくり10〜15回動かします。
• 広背筋へのアプローチ
1. フォームローラーを脇の下から背中にかけてセットし、横向きになります。
2. 下の手を前に伸ばしてバランスをとりながら、上下にローリング。
3. 広背筋の外側〜背中中央あたりまでをゆっくりと刺激します(1セット20秒×2〜3セット)。

※深い痛みや強い違和感がある場合は中止し、専門家に相談してください。

  1. 胸を開くストレッチ

→ドア枠に手をかけて胸を開くストレッチや、バスタオルを背中に敷いて仰向けになる「胸開きリラックス」なども有効です。
小胸筋や大胸筋を緩めることで、肩甲骨が後ろに引きやすくなり、動きがスムーズになります。


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刺激が入りすぎるとかえって痛くなる可能性も…
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まとめ|肩甲骨のゴリゴリ音は「病気」ではなく「機能低下」のサインかも

肩甲骨のゴリゴリ音は、多くの場合筋膜の滑走障害や姿勢の崩れが原因であり、重大な病気であることはまれです。
ただし、放っておくと慢性的な肩こりや頭痛、四十肩などのトラブルに発展することもあるため、早めの対処が肝心です。

理学療法士の視点からも、日常生活の姿勢改善と肩甲骨の可動域確保が予防のカギになります。
「最近音が気になるな…」という方は、まずは動きを見直すことから始めてみましょう!