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筋肉の「張り」はケガのサインかも?
「なんか筋肉が張ってるな…」
そんなとき、あなたはどうしていますか?
・とりあえず放っておく
・ストレッチしてごまかす
・湿布を貼って様子を見る
実はこの『張り』放っておくと重大なケガにつながる可能性があります。
本記事では、理学療法士の視点から「筋肉の張りとケガの関係性」について深掘りし、予防・セルフケア・おすすめアイテムの使い方までわかりやすくご紹介します。
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『筋肉の”張り”とは何か?』
「張り」という感覚は、医学的に言うと以下のような状態が考えられます。
• 筋肉の持続的な収縮状態(筋緊張)
• 微細な筋繊維の損傷(炎症の初期段階)
• 筋膜や結合組織の滑走不良
• 血流の低下による酸素・栄養不足
• 代謝産物(乳酸など)の蓄積による違和感
つまり、張りとは単なる疲労ではなく、筋肉や周囲組織に“過負荷”がかかっているサインなのです。
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『張りが引き起こす主なケガ』
①肉離れ(筋挫傷)
張ったままの筋肉は柔軟性が失われ、急な伸張(筋肉が引き伸ばされる動作)に耐えられなくなります。
→ 特にハムストリングス(太もも裏)や腓腹筋(ふくらはぎ)で多発。
例:サッカーや陸上のスプリント動作中に「ブチッ」という音とともに発症。
②腱障害(腱炎・腱症)
筋肉と骨をつなぐ「腱」に繰り返し張力が加わると、微細な断裂や炎症が生じやすくなります。
→ 肘、肩、膝、アキレス腱などに多い。
例:テニス肘、ジャンパー膝、アキレス腱炎など。
③関節痛・筋膜性疼痛症候群(MPS)
張りが慢性化すると、筋膜の一部にトリガーポイント(圧痛点)が形成され、関連痛(離れた部位の痛み)を引き起こす場合も。
例:肩こりからくる腕のしびれ、腰の張りからくる坐骨神経痛のような痛み
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『張りが起きやすい主な原因』
運動後の疲労
筋線維の微細損傷、代謝物の蓄積による
長時間の同一姿勢
デスクワークや立ち仕事などで血流低下
ストレッチ不足
筋膜や筋繊維の柔軟性低下
精神的ストレス
自律神経の影響で筋緊張が持続
水分・栄養不足
血行不良や乳酸代謝不全を招く
筋肉の張りを放置すると…
張りを感じたまま放っておくと、次のような悪循環が生まれます。
1. 筋緊張 → 血流低下
2. 血流低下 → 酸素・栄養供給不足
3. 栄養不足 → 回復力低下
4. 回復力低下 → 柔軟性減少
5. 柔軟性減少 → ケガ発症リスク増大
つまり、張りはケガのスタートラインと考えるべきなのです。
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『張りを感じたときのセルフチェック』
以下の項目に当てはまる場合は、すぐにケアを行いましょう。
• 動かすと引っかかる、または痛みがある
• 触ると“ゴリッ”と硬い部分がある
• 張っている筋肉と反対側の可動域が狭い
• 張りが3日以上続いている
• 張った後、よくつるようになった
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『張りを和らげるセルフケア方法』
①温熱療法(入浴・温タオル)
・血流を促進
・筋肉の柔軟性を高める
→ 入浴中にストレッチを加えるのも◎
②ストレッチ(静的ストレッチ)
・反動をつけずに15〜20秒キープ
・呼吸を止めずに行う
→ 張りを感じる部位とその“拮抗筋”の両方を行うのが理想
※30秒を超えると筋肉は逆に固くなるため20秒を目安に行いましょう。
③マッサージガン(筋膜リリースガン)
効果: 筋膜と筋肉の癒着をはがし、柔軟性回復を促進。
『使い方』
• 張っている筋肉に対して垂直ではなく、やや斜めにあてることで、筋繊維に沿って優しく圧が加わりやすくなります。
• 1か所に2〜3秒あて、少しずつ移動する
• 骨の近くや関節部は避ける
🟡 注意点: 打ち続けすぎると逆効果になるため、1部位あたり60秒以内を目安に。
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④筋膜ローラー(フォームローラー)
効果: 筋膜と筋線維の滑走性を改善し、柔軟性UP。
『使い方』
1. 張っている筋肉の下にローラーを置く
2. 自分の体重を利用して前後にコロコロ
3. 張りが強い部分ではゆっくり止める
→ ローラーは強く押し付けすぎないように
🟡 初心者には柔らかめのローラーがおすすめ。
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『実際にあったケガ例とその背景』
① スポーツ選手の大腿部肉離れ
30代男性サッカー選手。
前日に太もも裏の「張り」を感じながらスプリント練習を続けた結果、翌日の試合中に急激な痛みとともに肉離れを発症。
→ 実際は“軽度の筋膜損傷”が始まっていたと推測される。
② デスクワークの肩こり → 頚肩腕症候群
50代女性。
長年のPC作業で肩の張りを放置していたところ、手のしびれや腕のだるさが出現。MRI異常なし。
→ 筋膜の慢性的な拘縮による神経圧迫(MPS)が原因と診断。
③ スポーツ選手のアキレス腱炎
20代男性サッカー選手。
ふくらはぎの張りがありながらプレーを続け、ある日ジャンプ着地でアキレス腱に鋭い痛み。MRIで腱の微小断裂が判明。
→ 張りの慢性化が原因。
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『張りの予防に必要な生活習慣』
• こまめな水分補給(筋収縮に不可欠な電解質を保つ)
• 毎日の軽い運動(ウォーキング・ストレッチ)
• 良質な睡眠(成長ホルモンによる筋修復を促進)
• 栄養バランス(特にたんぱく質・マグネシウム・ビタミンB群)
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『まとめ』
張りを「軽く見ないこと」がケガ予防の第一歩
• 張りは、筋肉や腱への「過負荷の警告サイン」
• 放置せず、セルフケアで柔軟性を回復させることが重要
• マッサージガンやフォームローラーなどのツールを正しく使えば、ケガの予防にも再発防止にもつながる
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▶ 筋肉の張りが慢性的に続く場合は?
→ 整形外科や理学療法士へ相談しましょう。