朝起きて最初の一歩を踏み出した瞬間、かかとに「ズキッ」と鋭い痛みを感じる。立ち仕事の後、足の裏がジーンと重だるく痛む。
そのような症状に心当たりがある方は、「足底腱膜炎」の可能性があります。
足底腱膜炎は、歩く・立つという日常的な動作に支障をきたす厄介な疾患です。
本記事では理学療法士の視点から、足底腱膜炎の原因・症状・検査・治療法・セルフケアまでを詳しく解説していきます。
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足底腱膜炎とは？
足底腱膜炎（そくていけんまくえん）とは、足の裏にある「足底腱膜」という線維性の膜状組織が炎症を起こす疾患です。
この足底腱膜は、踵の骨（踵骨）から足の指の付け根までを走っており、歩行時には足のアーチ構造を支えながら、着地の衝撃を吸収する働きをしています。
しかし、繰り返しのストレスや筋・関節のアンバランスなどが原因で、踵骨付着部や中央部に微細な損傷を起こし、炎症が生じることで痛みを発します。
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主な症状
起床時、最初の数歩で強いかかとの痛み（最も特徴的）
長時間の立位や歩行の後に足底が痛む
指先立ち、つま先歩き、階段の上り下りでの痛み
重症化すると安静時にも違和感が残る
初期段階では動き始めに痛みを感じる「スタート痛」が中心ですが、放置して悪化すると、日常生活に持続的な支障が出るようになります。
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原因
足底腱膜炎は、単一の原因というよりも複数の要因の積み重ねによって生じます。
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主な誘因
「危険因子」
過度な使用：ランニング・長距離歩行・立ち仕事の継続
柔軟性の低下：腓腹筋・ヒラメ筋・アキレス腱の短縮により腱膜に牽引ストレスがかかる
不適切な靴：クッション性のない靴・摩耗した靴を使用している
足のアーチ構造の崩れ：扁平足、過回内、逆にハイアーチもリスク
肥満や急激な体重増加
足関節や足指のアライメント異常（足趾把持力の低下、外反母趾など）
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足のアーチとの関係
足底腱膜は足のアーチ（特に内側縦アーチ）を支持しています。
このアーチが低下（いわゆる「アーチの落ち込み」や扁平足）すると、足底腱膜に常に伸張ストレスがかかる状態になり、踵骨への牽引が強まります。
これにより、踵骨付着部の炎症が起こりやすくなるため、アーチ低下は重要な発症リスク因子の一つとされています。
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検査・診断
圧痛検査：踵骨前内側部に強い圧痛がある
トンプソンテスト・Windlassテスト：腱膜の緊張を高めた際に症状が誘発される
画像検査：超音波検査で腱膜の肥厚や血流増加が見られることがある。X線では踵骨棘が認められる場合も。
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治療・リハビリテーション
① 安静・活動制限
痛みを誘発する動作（長時間歩行、硬い路面での運動）は控えます。
② 物理療法
温熱療法や超音波治療
電気刺激による筋の促通
難治例では体外衝撃波（ESWT）も適応されます
③ ストレッチと筋機能改善
腓腹筋・ヒラメ筋ストレッチ（ふくらはぎの柔軟性改善）
足底腱膜ストレッチ（足指を反らす動作）
④ インソール・靴の見直し
アーチサポートつきの中敷きや、ヒールカップ入りのものが有効です
クッション性の高いシューズを選びましょう
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セルフケア
自宅で継続できる対策が重要です。以下を日常に取り入れてください。
● ストレッチ
①ふくらはぎ（腓腹筋・ヒラメ筋）ストレッチ
壁に手をついて片脚を後方に伸ばし、踵を床につけたまま前傾します。
②足底腱膜ストレッチ
足を膝に乗せて足指を手で反らせ、足底筋膜にテンションをかけます。
● 足趾の運動
タオルギャザーや足指ジャンケンで足内在筋の強化を図ります。
● 簡易的な筋膜リリース：青竹ふみ
竹ふみは、足底の筋膜を刺激することで血行を促進し、硬くなった筋肉をほぐすことができます。さらに、足裏の柔軟性が向上することで、距骨が正しい位置に引き上がりやすくなります。距骨が上がることで足部のアーチがしっかりと形成され、着地時の衝撃吸収能力が高まり、足底への負担が軽減されるため、足底腱膜炎の予防と改善に効果が期待できます。
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再発予防のポイント
痛みが消えてもストレッチと筋トレは継続
靴底がすり減った靴は早めに交換
長時間の立位や歩行の前後にケア習慣をルーティン化
体重管理と足の使い方を見直す（重心バランス、立ち方、歩き方）
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まとめ
足底腱膜炎は、単なる「足の裏の痛み」ではなく、全身の動作連鎖や足部構造の不均衡から起こる疾患です。
放置すると慢性化しやすく、仕事や生活にも支障をきたします。
専門的な視点から早期に原因を見極め、適切なセルフケアと運動療法を継続することで、症状は十分改善可能です。
足裏に違和感を感じたら、ぜひこの記事を参考にしてみてください。