【理学療法士が解説】あまり知られていない腰痛!?腸肋筋の伸長ストレスとは?原因・症状・対処法を徹底解説!

腰痛といえば「腰を反らすと痛い」「動くとズキンと痛む」など、さまざまなタイプがありますが、整形外科の現場で意外と多いのが「腸肋筋の急激な伸長ストレスによる腰痛」です。

この記事では、腸肋筋の働きや解剖、どういう動きで痛めやすいのか、セルフケア方法まで、専門的な知識をわかりやすく解説していきます。

◆ 腸肋筋ってどんな筋肉?どこにあるの?

腸肋筋(ちょうろくきん)は、脊柱起立筋群(せきちゅうきりつきんぐん)という背中の深層にある筋肉群のひとつです。

腸肋筋は主に「胸腸肋筋」「腰腸肋筋」の2部に分かれており、腰の骨(腰椎)から肋骨にかけて走っています。

● 腸肋筋の位置・起始停止
• 起始(筋肉の始まり):腸骨稜(骨盤の上部)や仙骨(腰の中心あたり)
• 停止(筋肉の終わり):肋骨の外側

つまり、骨盤から肋骨にかけて“斜め上に伸びている筋肉”で、体を支える重要な役割を担っています。

● 腸肋筋の主な作用
• 体幹の伸展(体を後ろに反らす動き)
• 体幹の側屈(体を左右に傾ける)
• 体幹の回旋の補助(ねじる動き)

姿勢保持にも関与しており、デスクワークやスポーツでも常に使われている筋肉です。

◆ どんなときに腸肋筋が痛むのか?

● 原因:急激な「伸長ストレス」による筋損傷

現場でよく見られるのが、「体幹の回旋動作(ねじる動き)」をしたときに腸肋筋に急激な伸長ストレスがかかり、微細な筋損傷を起こすケースです。

例)
• ゴルフや野球などでスイングしたとき
• 雪かきや掃除で急に体をひねったとき
• ベッドの上で寝返りを打った瞬間
• 洗濯物を干すときに片手でひねるような動作をしたとき

これらの動作では、腸肋筋が急に伸ばされ、その部分に炎症や微細な断裂が生じて痛みを引き起こします。

◆ 痛みの特徴とセルフチェック

腸肋筋のストレス障害による腰痛には、次のような特徴があります。

● 痛みの特徴
• 左右どちらかの腰の外側(肋骨の下あたり)に鋭い痛み
• 体幹を回旋(ひねる)と痛みが増す
• 側屈(体を横に倒す)でも痛みが出ることがある
• 押すとピンポイントで痛い(圧痛)

● セルフチェック
1. 立った状態で体を右または左にゆっくりひねってみる
2. 腰の外側(肋骨のすぐ下あたり)にズーンとした痛みや引っ張られる感覚があれば、腸肋筋由来の痛みが疑われます。

◆ 病院での治療と理学療法士の視点

整形外科を受診した場合、腸肋筋が原因の腰痛と診断されることは多くありません。多くは「筋・筋膜性腰痛」としてまとめられる傾向がありますが、理学療法士による触診や動作分析によって正確に原因が特定されることが多いです。

● 治療方針
• 急性期であっても冷やすより“温める”ほうが効果的
• 特に腸肋筋は血流によって回復が促進されるため、温熱療法(ホットパックや遠赤外線治療)が第一選択
• 理学療法士による超音波治療(深部加温)も非常に有効です
• 痛みが軽減してきたら、ストレッチや体幹安定のトレーニングへ移行

◆ 自宅でできるセルフケア・対処法

【1】温める(ホットパック・蒸しタオル)

腸肋筋は深層筋なので、表面を温めるだけでは不十分ですが、日常的な温熱刺激は血行促進に効果的です。

おすすめの方法:
• 蒸しタオルを作り、肋骨の下あたり(痛い方)に10〜15分ほど当てる
• お風呂にゆっくり浸かって、体を温める

※ただし、痛みが鋭く、ズキッとするような急性期は無理に温めず、専門家に相談を。

◆おすすめホットパック&低周波治療器

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急性的な痛みには刺激の少ない低周波治療もおすすめです!

【2】軽いストレッチ(痛みが落ち着いてから)

痛みがやや落ち着いてきたら、以下のようなストレッチで腸肋筋を優しく伸ばします。

ストレッチ例:
• 椅子に座った状態で、体を反対側にゆっくりひねる
• そのまま反対側の腰(痛みがある方)を軽く伸ばすように意識
• 15秒キープ×3セット(無理に反らさず、痛みが出ない範囲で)

【3】再発予防:姿勢と体幹の使い方

腸肋筋の負担を減らすには、猫背や片側ばかり使う癖を直すことが大切です。
• デスクワークでは骨盤を立てて座る
• 片手で物を取るときは、体ごと回転して動く(ひねらない)
• スポーツ前は体幹の回旋ストレッチを入念に行う

【4】マッサージガン

温熱にて筋肉を緩めた後に弱い刺激を与えるのも効果的です。
※必ず振動は弱めにしましょう。

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◆ まとめ:腸肋筋由来の腰痛は、見逃されがちだけど要注意

腸肋筋は目立たない存在ですが、体幹の安定や姿勢保持に欠かせない重要な筋肉です。

体をひねったときの「ズキッ」という痛みや、側屈での違和感がある場合は、この腸肋筋が原因かもしれません。

病院での適切な治療と、自宅での温熱ケア・姿勢の見直しによって、多くの方が早期に改善できます。

「ただの腰痛」と思わずに、自分の体の声に耳を傾けてくださいね。

理学療法士としての現場経験から、腸肋筋のストレス障害は見逃されやすく、でも適切な対処で改善しやすいタイプの腰痛だと感じています。

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